才能あふれる絵師が志半ばで逝ってしまうこと、それを葬(おく)らねばならないことがあまりにつらく…無念至極であり、心はやるせない思いでいっぱいです。
美麗な絵を描くマンガ家やイラストレーターはBL界でも数多く存在しますが、その中でさらに「1枚の絵にストーリーと世界観を描くことができる人」となると、実はとても少なかったりします。
平積みされている数々のBL作品の中でもパッと目を惹く表紙、すぐに朝南さんの絵だとわかります。
その煌き、一瞬が永遠のように思えたものです。
絵を見るとその絵師の仕事に対する考え方がなんとなく伝わってきます。
(そう思いませんか?)
絵って雄弁なんですよね…でもそれはトップ絵師の作品であれば、当たり前のことなのかもしれません。
朝南さんの手掛けられた作品を見るたびに、いつも「この絵師さんはものすっごい仕事に対して真摯な方だろうな、作品を重ねるごとにどんどん良くなってきているから、いろいろ研究しているに違いない」と思っていました。
がしかし、本編がしょーもない内容だったりして「朝南さんの力でレベルが上げられているな、こりゃ」「なんてもったいない」「朝南さんの絵は素敵なのに」とガッカリする作品の絵付けが少なくなかったのも事実で、素晴らしい作品に絵付けされて実力と一致したときは、とてもとても感動したものです。
個人的にどの作品に思い入れがあるかといえば、『忘れないでいてくれ』かな…。
初めて「絵師と作家の実力や特性が一致した」と感じた作品だからです。
表紙・口絵・挿絵…それらすべてが、です。
カラー表紙が素晴らしいのは当たり前の絵師さんだったので、美麗だけなら他の作品を挙げますけど…私は『忘れないでいてくれ』がどうしても忘れられません。今となっては…そのタイトルがまるで強いメッセージのようで…ただただ無念になるばかりです。
夜光さんの公式ブログに、その『忘れないでいてくれ』から始まった朝南さんとの交流や、どういう方だったかというお話が書かれてあります。私は『忘れないでいてくれ』のスピンオフ(塚本の話)を熱望していたので、お話の中に出てきた「一緒に仕事ができる」というのが、そのスピンオフのことだったのかなと思うと(あくまで推測です)…夜光さんの無念も伝わってきて胸が締め付けられて悲しく…言葉に詰まります。
忘れられない、忘れることなどできない絵師さんです。
心よりご冥福をお祈り致します。Requiescat in Pace
- 関連記事
-
- ぼんやりですみません
- 一瞬が永遠
- 2012年の抱負