『菫の騎士』 榎田尤利 大洋図書 2008年……いっそBLでないほうが
2008/10/13 (Mon)
![]() | 菫の騎士 (SHY NOVELS 205) (2008/05/09) 榎田 尤利 (挿絵:ライトグラフII) 商品詳細を見る |
伽の地と呼ばれる緑豊かなベネボレントの領主・アルヴィンは、ある昼下がり、菫の褥で眠る男と出会う。それは、幼い頃を一緒に過ごした大好きな従弟・ダンテの成長した姿だった。優しく、可愛らしかったダンテは、いまでは逞しく立派な、けれど何を考えているのかわからない青年へと様変わりしていた……哀しみと憎しみ、そして勇気と愛の物語、誕生!
中世ファンタジー風な騎士×領主モノ(年下攻)。
ファンタジーを書かせたら、これまたBL界ではトップだろうと思わせるエダさん。実際、別名義・別出版社で発表されているファンタジー作品でも固定ファンを多く得ている方なので、そのままBLにスライドしても安心して読めるだろう…と思いきや。
ファンタジー部分があまりにジュブナイルすぎて、アダルトなエロとどーにもマッチせず、エロシーンが出てくるたびに、いたたまれない気持ちになってしまった。
やわらかな日差しを感じさせてくれる文章。
やさしい気持ちにさせてくれる素朴な領民たち。
忍び寄る戦争の影。
ダンテの暗い過去とアルヴィンの後悔。
…ときて、いつもエロ。
う〜ん…。
導入部は相変わらず素晴らしく、キャラは活きているし、お約束だろう主要キャラのワケアリ告白だって、要所にしっかり置かれている。もともとエダさんは1冊キッチリストーリーをまとめてくる人。なので、本作もエンドマークがちゃんとついている作品に仕上がっているのだが、比較的ページ数の少ないSHYでは、どうしてもゴーインかつ中途半端な印象がついてしまう。ファンタジーにBLがあるのか、BLにファンタジーがあるのか。レーベルを思えば後者なのだろう。だが正直云うと、BLじゃなく、もっと設定を作りこんだジュブナイルファンタジー作品として読みたかった。それほどBL部分が邪魔に感じてしまった。アルヴィンとダンテの友情物語だったら――たとえば、角川や講談社などで正統派ファンタジーとして発表されてたら、もっと世界観のある、素敵な作品に仕上がっていたんじゃないだろうか。
きっと書けるだろう、でも書きれてない。そしてラブより読みたいと思わせる他の要素が多かったことが、BLとして中途半端な印象を植え付けてしまったのかもしれない。
評価:★★★(エダ作品はタイトルが凡庸だと、「あ、これは凡作かも」と予感してしまう)
エンタ色高めでジャンル豊富なSHYというレーベルにも功罪があるね。いろいろ読めるのは嬉しいし、作家もチャンレジできていいと思うけど、1冊でまとめるには苦しい作品になっていると、読み手にもその苦しさがダイレクトに伝わってしまうんだもの。
それから大洋図書さー、お願いだからオビ惹句で誤植しないでよー、頼むからさー!もう!
×「恋をしているから すてべを赦したい」 → ○「恋をしているから すべてを赦したい」
絵師はライトグラフIIさん(PNを変えててもOさんとわかるとゆーか)。う〜ん…合っているとは思う、でも私は青樹そう(漢字が出ない)さんの絵で読んでみたかったかな…
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。
*** COMMENT ***
連日失礼します(汗)
こんにちは。
『菫の騎士』私もイマイチ作品だったのですが、
>角川や講談社などで正統派ファンタジーとして発表されてたら、もっと世界観のある、素敵な作品に仕上がっていたんじゃないだろうか。
にすごく納得してしまいました。
BLとファンタジーの組み合わせは難しいですね。
榎田さんじゃなければ手に取らなかっただろうなと思います。
『菫の騎士』私もイマイチ作品だったのですが、
>角川や講談社などで正統派ファンタジーとして発表されてたら、もっと世界観のある、素敵な作品に仕上がっていたんじゃないだろうか。
にすごく納得してしまいました。
BLとファンタジーの組み合わせは難しいですね。
榎田さんじゃなければ手に取らなかっただろうなと思います。
いつでもどうぞ〜♪
BLでのファンタジーというと、なんかこう…おどろおどろしかったり、JUNEっぽかったり、酒池肉林系だったり…どーもアダルトな印象を持ってしまいがちなのですが、この作品は光や精霊や花やパン(わはは♪)など、のんびりとふわ〜んと優しい気持ちになれるものが多く出てくるので、この路線のファンタジーでBLってのは、ある意味チャレンジ作品だと思うんです。
BLを望む人には、この作品のファンタジー部分が中途半端に感じるでしょうし、実際そういう方のほうが多いように思います。私は逆で、そのファンタジー部分を膨らませて欲しかったと思っているクチです。なんかもったいないですよね…。
BLを望む人には、この作品のファンタジー部分が中途半端に感じるでしょうし、実際そういう方のほうが多いように思います。私は逆で、そのファンタジー部分を膨らませて欲しかったと思っているクチです。なんかもったいないですよね…。
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