Posted: 2012.07.22 by 秋林 瑞佳 in
【ヘタレコラム】多事そーろん
BLを読むことをシュミとしているけれど、自分は一般腐系女子より萌えに疎いなーと思ってます。
ただその…どうなんでしょう?
この腐界は、萌えだったり心地よさだったりを最大重視している方ばかりで構成されているのでしょうか?
私みたいな「ストーリー性重視」「強引なハッピーエンド嫌い」な方って、ちょっとくらいいらっしゃるのでは?
誤解のないように説明すると、バッドエンドやアンハッピーエンドを好むのではなくて、このキャラと展開で「全員ハッピー☆めでたしめでたし♪」な心地よさを求めるのはなんか違う、「ハッピーエンドとは限らない」もしくは「最後を読み手に委ねる」「わかりづらいけどこれもハッピーエンド/萌えのひとつ」だろう、つまり
萌えやハッピーエンドよりも物語の完成度を優先して欲しいということです。
萌えに包まれた幸せな作品が山ほど世に出ているのですから、そういう作品があったっていいじゃない、と思うわけです。ただあからさまに「ここで劇的にキャラを殺す/悲恋にする」というのは好みではありません(往年のC****とか)。それは決して完成度が高いと(私の中では)云えない。
ビコーズ、ミエミエだから。で、思い出すのがコレです。
(原書・翻訳両方読んだし、映画もシネマライズで初日の初回観ました…BLじゃないんですけどね)
著者であるアニー・プルーがインタビューで話していたこと――それが私の心の中にずーっと残っています。
「ふたりがどういう結末を迎えるか悩んだ。ああなったのは、あのふたりだったらそうなるしかないと思ったから――泣きながら書いた」
ソースは海外の某ゲイ雑誌だったか、NEWSWEEKだったか…うろ覚えです。
アニー・プルーの言葉が本当によくわかるというか…ふたりの性格、状況と環境だったら――もう本当に切なくて涙が出るんだけど、そうなるしかなかったと私も思います。(日本の腐女子にはウケが悪いでしょうが)あのラスト以外はどうしても考えられない。
(なのに映画の日本語字幕でラストのラスト、余計な訳をしくさってくれたおかげで…余韻がダイナシ)
私が求めているのは…そういう作品なんです。
そういう作品を書くBL作家は…樹生かなめさん(シリアス作品)あたりが近いでしょうか?
木原音瀬さんや水城せとなさんも近い…けれど、どよーん!とさせたり、痛かったり、黒かったり、意地が悪かったりするので違います。
樹生作品は…どよーんさや痛さ、黒さとは無縁というか…読み手にラストを委ねる作品が多い中、なにかどこか力強さだったり、ぼんやりとした明るさがあるのです。だからこそ私は「そこで終わるのが大正解」と思うのですが、世の腐系女子にはウケが悪い。
この作品に続編はいらない。あったらそれは「萌えと心地よさ」を重視させた蛇足にしかならない。
↓映画だったらコレかしら?
「トゥルーマンはどうなったかって?…彼には未来と恋人が待っている、それでいいじゃないか」…ピーター・ウィアー監督の名言…いえ、至言ですね。
でもBLでは…そういう作品はこれからもあまり求められないのでしょうね…。